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ふたつの喧嘩

ここ最近、ふたつの喧嘩をしました。
ひとつは妻と、ひとつはK子と、です。

喧嘩の理由はまったく違って比較できないから詳しくは書きません。
その後の経緯に重点を置いて書きたいと思います。

まず、妻と。きっかけは子供の叱り方だけど、子供の教育に関する考えかたの小さなずれが、話しているうちにヒートアップしていきお互いに対する不満の応酬へと発展し、そのうちに大きな声での怒鳴り合いに。

そうなると、妻はかなり口が立つ、というか論理に多少の破たんがあっても立て板に水のごとく言葉が出てきて、私はかならず防戦一方になります。

もう何年も繰り返してきた、いつもの喧嘩のパターン。口論は堂々巡りで、お互いに歩み寄ろうという気持ちは全くない。

「もういい」

と話途中で席を立ち、使っていない部屋に布団を敷いて鍵を閉めて籠りました。

翌朝はお互いに顔を見ないように、それぞれに子供とだけは普通に接している。夕方くらいには必要最低限のことだけは話すようになり、翌々朝は何事もなかったように普通に会話していました。それもいつものパターン。

解決したようにも見えますが、根本は何も改善されていない。謝るわけでもなく、お互い、どうすればよいか、を話すわけでもなく、ただ口論したことが無かったことになっている。でも、それは消えて無くなったわけではなくて、心のいちばん深いところに、薄く薄く、でも澱のように何層にも積み重なっていっている、という気がします。



一方、K子と。きっかけは小さな気持ちの行き違い。K子とは生活も職場も、学生時代のような過去も共有しているわけではなく、お互いの属している社会に共通する部分が無い。K子の世界で私が知っているのはK子と私の関係だけ。私の世界でK子がしっているのもK子と私の関係だけ。私には子供があり、K子にはいない、という家庭の違いもあります。

そこで生まれた小さな誤解とか、気持ちのすれ違いとか、それが小さな事件になって、喧嘩をし、楽しみにしていた週末のデートをキャンセルすることになりました(詳しく書けなくてスミマセン、具体的に書くとわかる人にはわかり、個人を特定できてしまいそうなので…)。
一夜明けて翌日、メールで話して、なんとか誤解は取り除けたけど、どうも気持ちがスッキリしない。土曜で仕事は休みでしたが、家族には仕事で急用ができたと言って、車でK子の家の近くまで行きました。

「少しだけ出て来れない?」

途中で電話を入れたので、1時間くらいなら、とK子もダンナには買い物と言って出てきてくれました。

K子を助手席に乗せて、行くあてもなく走り出し、最初は無言で、そのうちどちらからともなく

「ごめんね」

と。それから色々と話をしました。言えずにいたちょっとした不安、嫉妬の気持ち、少しだけ感じていた不満、ふたりのこれからの付き合いのこと…

話すうちに胸のもやもやは消え、「好き」な気持ちが以前よりももっと強く湧きあがってきました。K子も同じ気持ち。

路肩に車を停め、キスをして抱き合いました。

「ポン太、大好きだよ」

「俺も、大好きだよ」

「昨日の喧嘩のことだけじゃなくてね、今まで言えなかったこと、全部喋ったらスッキリした」

「うん、顔見て、ちゃんと話せてよかった」

そしてもう一回キスをして、K子の家から少し離れた所でK子を降ろしました。

家に向かうK子は、ときどきこちらを振り向きながら携帯をさわっている様子。すぐにメールが来ました。

「喧嘩の前よりもっと好きになっちゃったよ?たまには喧嘩もいいね(笑)」

私もすぐに返しました。

「でも誤解は解けたんだし、前よりもっと大きなネタじゃないと喧嘩にならないと思うよ?」

「じゃあ頑張ってネタ考えるね!o(^^)o」

一回分のデートはふいにしたけど、何倍も大事なものを手に入れた気がしました。



最初にも書いたとおり、原因も全く違うし、そもそもそれ以前のお互いへの気持ちが違うのだから結果も違って当然なんだけど、改めて妻との関係、K子との関係が私にとってどういうものであるかを感じました。


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